レーザ安全用語の解説

レーザ安全用語の解説

レーザの安全基準・安全規格には特徴的な用語が多く存在します。ここでは、特に難解と思われる主な用語について解説します。

レーザ安全用語

AEL 被ばく放出限界 (Accessible Emission Limit)

各レーザクラスにおいて許容される最大のエネルギー放出レベル を指します。

レーザ製品は、開口から放出されるレーザのパワーが、必ずそのレーザクラスに応じた AEL を超えないようにしなければなりません。具体的な AEL の計算やレーザクラス分けについては、以下を参照してください。

レーザクラス分けとAEL計算

コンテンツ1 レーザ製品のクラス分け (IEC 60825-1)2 レーザクラス分けの原則3 AEL (被ばく放出限界) の計算4 被ばく放出レベル(レーザパワー)の測定5 レーザクラス 分…

MPE 最大許容露光量 (Maximum Permissible Exposure)

通常の環境において、人体に照射しても有害な影響を与えないレーザ放射レベルの最大値 をいいます。

生物物理学的研究に基づいて定められている値で、レーザの波長や露光時間(どの程度の時間レーザにばく露するか)によってその値は変わり、エネルギー (J)、パワー (W)、もしくはその密度 (J/m2 または W/m2) で与えられます。また、AEL の数値は、MPE の値をもとに規定されています。

クラス 3B および クラス 4 のレーザ製品は、使用者に対して MPE に関する情報を提供しなければなりません。MPE については、JIS C 6802 (IEC 60825-1) の附属書 A に詳細が記載されていますので、必要に応じて参照ください。

NOHD 公称眼障害距離 (Nominal Ocular Hazard Distance)

レーザ放射レベルが、目に対する MPE に等しくなるときの、開口部からの距離 を指します。したがって、レーザ製品の開口部から NOHD 以上離れていない場所は、レーザによる眼障害が発生する危険性がある場所ということになります。

広がり角の大きいビームの場合は NOHD が短くなりやすいですが、直進性の高いコリメートレーザの場合は NOHD が非常に長くなります。もちろん、ビーム形状だけでなく、レーザの根本出力によっても大きく左右されます。

クラス 3B および クラス 4 のレーザ製品は、使用者に対して NOHD に関する情報を提供しなければなりません。 NOHD は露光時間を何秒にするかによっても変わりますので、情報提供にあたっては、仮定した露光持続時間も合わせて伝える必要があります。

NOHD の算出方法

簡略化した計算方法を用いれば、ビームウエストの位置や広がり角の情報をもとに NOHD を計算で求めることができます。簡略化した計算では妥当な結果が得られるか疑わしい場合は、実際に測定することによって NOHD を確認したほうがよいでしょう。

NOHA 公称眼障害区域 (Nominal Ocular Hazard Area)

レーザ放射レベルが、目に対する MPE を超えている範囲内の区域 をいいます。 したがって、NOHA の中は、レーザによる眼障害が発生する危険性がある場所ということになります。

その定義から、何ら遮へい物や安全対策がない場合には、レーザ製品の開口部を中心に NOHD を半径とする円の内部が NOHA ということになります。

レーザ安全用語の参考情報

外部リンク

日本産業標準調査会 (JISC)利用者登録をおこなえば、無料でJIS規格の閲覧が可能です。
JIS C 6802 「レーザ製品の安全基準」も閲覧することができます。