CEマーキングの概要と取得手順
CEマーキング 制度の概要
CEマーキング とは
CEマーク とは、製品が EU (欧州連合) の基準に適合できている場合に表示することが認められる、欧州基準適合マークのことです。
また、CEマーク を製品上に表示すること、あるいは、CEマークに関する制度そのものを指して CEマーキング といいます。
EU関連法規に適合し、適切に CEマーク を表示できている製品は、EUを中心とした関連地域において自由に流通させることができます。
![CEマーキング](https://www.regsol.jp/wp-content/uploads/2021/08/CE-marking.png)
CEマーク を「取得する」とは
CEマーク を「取得する」というのは、正確な表現ではありません。基本的に CEマーキング の制度は製造者や輸入者が自ら適合を宣言して、製品に CEマーク を表示するものであって、第三者から CEマーク を与えられるわけではないからです。
したがって、CEマーク は「取得する」のではなく、製品が CEマーク の「要求事項に適合していることを確認する」といった表現のほうが、より適切な表現であるといえます。このページでは、便宜的に「取得」という表現も使用しています。
CEマーク が必要な国 (対象国)
製品を流通させるために CEマーク が要求される国・地域は、以下の通りです。
- EU (欧州連合) 加盟国:27ヶ国*
- EFTA (欧州自由貿易連合) 加盟国:4ヶ国
- アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイス
- トルコ
*イギリスは EU から離脱したため、2023年以降は CEマーク への適合だけでは上市することができず、UKCAマーク が要求されるようになります。詳細は下記の解説をご覧ください。
CEマーク の対象製品
その製品が CEマーク の対象製品かどうかを判断するためには、CEマーキング 関連指令・規則の対象範囲に製品が含まれるかどうかをひとつずつ確認していく必要があります。典型的に CEマーク が要求される製品には、以下のようなものがあります。
- 電気電子機器
- 機械、半完成機械
- 医療機器
- 玩具
- 個人用保護具
- 建設資材
これら以外にも、多くの製品が CEマーキング の対象となっていますので、個別の指令・規則を確認してください。なお、製品が複数の CEマーキング 指令・規則に該当する場合は、すべての指令・規則の要求を満足しなければなりません。
CEマーク 取得までの手順
ここでは CEマーク を取得するまでの手順、つまり、製品へ CEマーク を表示するために何を実施する必要があるのかや、そのフローについて簡単に説明します。ただし、 CEマーキング 関連指令の適用範囲は広範で、製品によって適合のための条件は大きく変わりますので、ここで述べるのはあくまで一般的なケースについてであることをご承知おきください。
CEマーク 取得の流れ / 対応フロー
- 1.適用する CEマーキング 指令の確認
- 一口に CEマーク といっても、多くの CEマーキング 関連指令が存在します。
製品の仕様と、各指令の適用範囲を確認し、どの指令の対象となるのかを明確にします。
- 2.整合規格の決定
- 指令の要求事項は抽象的なことが多く、実際の製品にそのまま当てはめて適合性を判断するのは困難です。そのため、通常は整合規格への適合性を確認することで、指令要求への適合推定を得る、という方法を取ります。
規格ごとに適用範囲が定められているので、製品に適用する適切な規格を一つまたは複数決定します。
- 3.適合性評価手続 (モジュール) の決定
- 指令ごとに定められている適合性評価手続 (モジュール) のうち、どれを採用するのか決定します。
第三者認証機関が関与する モジュール も存在していますが、自社で完結できる モジュールA (内部生産管理) を採用するのが一般的です。製品によっては第三者認証が必須となる場合もあります。
- 4.適合性評価の実施
- 製品の設計確認と必要な試験をおこない、規格への適合性を確認します。また、製品のユーザーや使用状況を想定したリスクアセスメントや、取扱説明書のチェックもおこないます。
- 5.技術文書の作成
- 製品が指令要求を満足していることの根拠となる、技術文書を作成します。
回路図、部品表、図面、テストレポート、リスクアセスメントレポート、取扱説明書などを含める必要があります。
- 6.適合宣言書 (DoC) の作成
- 適用する CEマーキング 指令すべて への適合確認ができたら、 適合宣言書 (DoC) を作成します。メーカー自身が適合を宣言するものになるため、 自己宣言書 と呼ばれることもあります。
- 7.CEマーク の表示 (CEマーキング)
- 製品上へ CEマーク を貼付し、指令へ適合していることを示します。対象の製品が小さすぎて表示困難な場合などは、パッケージや同梱文書へ代替表示することが認められます。
- 8.欧州へ製品を出荷
- 必要な書類を準備して CEマーク を製品に表示できたら、ようやく欧州 (EUなど) へ製品を輸入・出荷することができるようになります。
社外組織の活用について
はじめて CEマーキング 対応に取り組まれる場合や、これまで対象外だった指令に新しく対応する必要が生じた場合など、社内に知見が無い場合には、社外組織の活用をお勧めします。コンプライアンスに関することですので、外部の専門家から得た情報で裏付けをとることで法的なリスクを低減することができます。また、調査工数の削減効果も期待できます。
外部機関には、試験所や認証機関、CEマークのコンサルなど様々な立場の組織があり、それぞれにメリットとデメリットがありますので、自社の状況に適しているパートナーは誰なのかよく検討されるのが良いでしょう。
中小企業にオススメのパートナー
中小企業の場合、専門的に CEマーキング の適合サービスを提供しているコンサル会社を利用するのがオススメです。
民間の試験所や大手の認証機関は費用が高額になるケースが多く、予算が潤沢ではない中小企業が利用するにはハードルが高いです。また、公正性の観点からコンサルティングをおこなうことができないため、困ったときには自社でなんとかするしかありません。法規制対応専任の人員を配置することが難しい中小企業には、この点でもデメリットになります。
一方、 CEマーク のコンサル会社は中小企業のサポート経験が豊富で、低予算で対処するノウハウを持っているほか、柔軟なサービス提供が可能で細やかにアドバイスができる点が特長です。
CEマーク 取得にかかる費用・期間
「CEマーキング に対応するにはどのくらいの費用と期間がかかりますか?」という質問もよくいただきますが、残念ながら、製品の仕様やメーカー様の置かれている状況によって対応内容が異なるため、一概に回答することはできません。
上記の適合手順からわかるように、単に製品の型式試験をおこなって合格であれば取得完了、ということではありません。高額な費用と長期間が必要なこともありますが、課題が少なければ、数十万円程度の費用負担と、1~2か月程度の対応期間で完了できるようなケースもあるでしょう。
とにかく費用・期間の感覚をつかみたい、ということであれば、外部の専門家に相談してみることをお勧めします。レグソルでは、ご相談・お見積りは無料で承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
CEマーキング に関する参考情報
外部リンク
CE marking | 欧州委員会の公式ウェブサイトです。 製造者、輸入者それぞれが取るべき対応について情報がまとめられています。 |
Blue Guide | CEマーク を含むEU市場の製品規則についての公式ガイドです。 |