RE指令 無線機器の充電器標準化 (USB Type-C)

RE指令 無線機器の充電器標準化 (USB Type-C)

指令 (EU) 2022/2380 発行

2022年11月23日付で、指令 (EU) 2022/2380 が発行され、RE指令 (無線機器指令) 2014/53/EU の改正内容が確定しました。原文はこちら(外部リンク)をご確認ください。

スマートフォンの充電

無線機器の充電器標準化 (USB Type C)

今回の改正では、規制対象製品に使用できる充電器は USB Type C であることが要求されています。充電仕様に関する要求は、Article 3(4) へ追加されており、本質的要求事項 (Essential requirements) のひとつとなります。

留意事項

当ウェブサイトに記載の内容は、当方の法令解釈に基づくものであり、内容についての責任は一切負いません。また、簡略化のために詳細な条件については記載していない場合があります。実際の適用にあたっては、必ず原文を確認の上で適用してください。

RE指令 充電器標準化の対象無線機器

Annex Ia が新規に追加され、対象製品として以下の製品が列挙されています。

  • ハンドヘルド携帯電話 (Hand-held mobile phones)
  • タブレット (Tablets)
  • デジタルカメラ (Digital cameras)
  • ヘッドホン (Headphones)
  • ヘッドセット (Headsets)
  • ハンドヘルドビデオゲーム機 (Handheld videogame consoles)
  • ポータブルスピーカー (Portable speakers)
  • 電子書籍リーダー (E-readers)
  • キーボード (Keyboards)
  • マウス (Mice)
  • 携帯型ナビゲーションシステム (Portable navigation systems)
  • イヤホン (Earbuds)
  • ラップトップ (Laptops)

ラップトップ以外の機器については 2024年12月28日 から、ラップトップについては 2026年4月28日 から、それぞれ強制となります。

無線機器に要求される充電規格 (USB Type C)

対象製品は、有線で充電できる限り、以下を満たす必要があります。

(1) 規格 EN IEC 62680-1-3 に規定される USB Type C レセプタクルを備えること。この USB Type C レセプタクルは、常にアクセス可能で動作可能な状態を維持する必要があります。
(2) 規格 EN IEC 62680-1-3 に準拠したケーブルで充電可能であること。

また、5Vを超える電圧、3Aを超える電流又は15Wを超える電力による有線充電が可能な場合は、さらに以下を満たす必要があります。

(1) 規格 EN IEC 62680-1-3 に規定される USB Power Delivery を組み込むこと。
(2) 追加の充電プロトコルは、使用される充電器に関係なく、USB Power Delivery の完全な機能を可能にすること。

充電器非同梱での販売と表示要求

Article 3a が追加され、Annex Ia に挙げられている対象製品については、充電器を同梱しないでユーザーへ提供 (販売等) することが必須となります。

充電器を同梱したセットを提供すること自体は禁止されていませんが、そのセットを用意する場合は、充電器のないパッケージでも提供しなければなりません。

また、充電器が付属しているどうか、次のピクトグラムを用いて表示しなければなりません。

充電器が付属する場合のピクトグラム
充電器が付属する場合
充電器が付属しない場合のピクトグラム
充電器が付属しない場合

ピクトグラムは、包装材に印刷するか、ステッカーとして包装材に貼付する必要があります。

無線機器が消費者その他のエンドユーザーに利用可能となる(≒販売される)とき、このピクトグラムは、見やすく、読みやすい方法で表示されていなければなりません。なお、遠隔販売の場合は、価格表示の近くに表示されなければならないこととされています。

ピクトグラムのデザインや最小サイズについては、Annex Ia Part III を参照してください。ピクトグラムの最小高さは、約 12.83 mmです。

充電仕様に関する情報提供の要求

取扱説明書への記載要求

取扱説明書には、以下の (a) および (b) の情報を記載しなければなりません。

(a) その無線機器で使用できる有線充電デバイスの電力要件の説明。この説明には、その無線機器を充電するために必要な最小電力 (W) と、最大充電速度を達成するために無線装置が必要とする最大電力 (W) を含む必要があり、次のテキストで表示すること。

“the power delivered by the charger must be between min [xx] Watts required by the radio equipment, and max [yy] Watts in order to achieve the maximum charging speed”

「充電器から供給される電力は、無線機器が要求する最小 [xx] ワッ トと、最大充電速度を達成するための最大 [yy] ワットの間でなければならない。」

(b) 無線機器の充電能力に関する仕様の説明。ただし、5 V を超える電圧、3 A を超える電流、15 W を超える電力のいずれかで有線充電できる場合に限る。その説明には、無線機器が USB Power Delivery (PD) 充電プロトコルをサポートしていることを示すことを含む必要があり、以下のテキストで表示すること。

“USB PD fast charging”

「USB PD 急速充電」

また、他にサポートしている充電プロトコルがある場合は、その名称をテキスト形式で表示すること。

これらの情報は、消費者およびその他のエンドユーザーが容易に理解できる言語で、かつ明確で理解可能な内容でなければなりません。

なお、取扱説明書には、次の充電仕様ラベルも表示する必要があります

充電仕様ラベルの表示要求

取扱説明書への記載に加えて、以下のラベルに充電仕様に関する情報を表示しなければなりません

充電仕様ラベル
充電仕様ラベル
  • "XX" の文字は、無線機器が充電するために必要な最小電力(充電器が供給する必要のある最小電力)に対応する数字。
  • "YY" の文字は、無線機器が最大充電速度を達成するために必要な最大電力(その最大充電速度を達成するために充電器が最低限供給する必要がある電力)に対応する数字。
  • 無線機器が充電通信プロトコルに対応している場合は、USB Power Delivery の略語 "USB PD" を表示すること。

ラベルは、取扱説明書に印刷し、さらに、包装材に印刷するか、ステッカーとして包装材に貼付する必要があります。なお、包装がない場合は、ラベルを表示したステッカーを無線機器に貼付しなければなりません。

無線機器が消費者その他のエンドユーザーに利用可能となる(≒販売される)とき、ラベルは、見やすく、読みやすい方法で表示されていなければなりません。また、遠隔販売の場合は、価格表示の近くに表示されなければなりません。

ラベルのデザインや最小サイズについては、Annex Ia Part IV を参照してください。ラベルの最小高さは、10.5 mmです。

RE指令 今後の改正 (ワイヤレス充電の標準化など)

Article 3(4) では、今後の改正の可能性についても言及されています。

有線充電については、技術的進歩の状況に照らして、対象製品のカテゴリ / クラスを変更・追加・削除したり、充電レセプタクル、充電通信プロトコルの規格を変更・追加・削除する可能性があります。

また、ワイヤレス充電についても、対象となる無線機器のカテゴリ / クラス、充電インターフェース、通信プロトコルを導入する可能性がある、とされています。

RE指令 (無線機器指令) に関する参考情報

外部リンク

無線機器指令 (RED) 2014/53/EU無線機器指令 (RED) 2014/53/EU の原文を確認できます。
Radio Equipment Directive (RED)EU総局のウェブサイトです。
無線機器指令のガイダンスなど、関連情報がまとまっています。